コラム
ペットがあなたにくれたものとは? −お別れしても、できること−
ペットとの時間は、いつか終わりがやってきます。
もう会えないという現実に打ちのめされて、ペットロスに陥る方も少なくないでしょう。
確かにもう、あたたかい体に触れることも、目を見て話すこともできません。
でも、彼らから受け取ったものは消えません。
あなたがこれからできることは、涙を流し続けることではなく、自分を責めることでもなく、ペットが愛をもって教えてくれた“心”を育むことなのです。
ペットがくれる“心”
ペットが亡くなったら、飼い主さんは大きなダメージを負います。「現実を受け入れられない」と涙に暮れたり、「もっと早く動物病院に連れて行ってあげていたら」と自分を責めたりする方もいるでしょう。人によってはそれが深刻なペットロスにつながることも少なくありません。
しかし別れは終わりではなく、新たなスタート地点です。
ペットとの出会いを通して、家族は大きく成長したのではないでしょうか。
お家に来た日から生活はガラリと変わり、きっと楽しいことだけではありませんでした。困ったことや分からないこともたくさんあったことでしょう。その度に調べたり工夫をしたり、反応を見ながら色んなことを試したり、時にはお互いに辛抱強く向き合ったこともあったかもしれません。そうして一日ずつ信頼関係を築き上げてきた中で、家族は慈しむ心を教えてもらってきました。
それこそが彼らからの贈りもの–––– 家族に遺してくれたものです。彼らの最期の望みは、飼い主さんや家族が、贈りものをしっかり受け止めて、これからの人生を幸せに歩んでくれること。贈りものに気づかずに涙に暮れていたら、ペットも悲しくなってしまいます……。
家族で注いだ愛が深いほど、別れもつらくなるでしょう。でも、だからこそ思い出してほしいのです。彼らがあなたに何をくれたかを……。
また、「つらいときにそっとペットが寄り添ってくれた」など、まるでお互いの心がつながっているような不思議な体験をしたことはありませんか。
彼らの一番の望みは、家族が笑顔でいること。そのため常に人間の心を感じとり、やさしくサポートしてくれるのです。
ペットは、生涯をかけて、あなたに幸せへの道を教えてくれます。あなたはそのご縁を胸に抱き、笑顔の日々への第一歩を踏み出していく時を迎えているのです。
虹の橋でまた会える
ペットたちは、空へ旅立つと虹の橋に向かうといわれています。
虹の橋とは、天国の前に行き着く場所。やり残したことがある子は、生まれ変わる前にこの場所へと向かいます。やり残したこととは、つまり飼い主さんとの再会です。
虹の橋では、さまざまなペットが飼い主さんを待っています。そして、空の上から飼い主さんや家族の生活を眺めています。
自分が亡くなっても、飼い主さんが自分の名前を呼び、時折思い返してくれて、過去を“悲しい別れ”ではなく“前向きな感謝”として胸に抱いていてくれたら…… 彼らにとってこれ以上の幸せはないでしょう。
命あるものは、ペットに限らず、いつか必ず終わりを迎えます。
「また会いたい」
飼い主さんがそう願っているなら、虹の橋できっとあの子と再会できるでしょう。きっとすぐに飼い主さんの匂いに気づいて、尻尾がちぎれそうなほどに振りながら駆け寄ってきます。二人は固く抱きしめ合い、二度と離れることはないでしょう。
虹の橋のたもとで、共に生きていた頃と同じようにやさしく撫でながら“その後”の日々の話をしてあげてください。「君と出会ったから私はこう変わった。君に教えてもらったことを胸にこう過ごしていたんだ」など、積もる話を、たっぷりと。きっと、いつまでもうれしそうに聞いてくれますよ。
ペットが教える「利他の心」
ペットは「利他の心」で生きています。
「自分だけ良ければいい」という「利己の心」とは反対の「利他の心」。周りの人を大切にし、思いやりに満ちた心のことです。
まさにペットの姿そのものだと思いませんか。大好きな飼い主さんに幸せになってもらいたくて、彼らは己の生涯のすべてをかけて愛を尽くします。
そしてその生き様は、飼い主さんの生き方にも大きな影響を与えるでしょう。ふとした瞬間に、成長した自分に気づいたこともあるのではないでしょうか。また、「もしこの子と出会っていなかったら今の自分はなかっただろう」と想いを馳せる方もいるかもしれませんね。
ペットが教えてくれたことは、飼い主さんや家族の中にずっと生き続けます。もう会えなくても、その心は共にあります。
人生を伴走してきたペットは、もう隣にいません。それをひどく心細く、悲しく感じることもあるでしょう。しかしそれこそがペットの願い。「私はもう隣にはいられないけれどもう大丈夫だよね」と悟ったからこそ、一人で旅立っていったのです。
ペットがこの世に生を受け、あなたと出会ったのは、あなたを「幸せ」へと導くため。
だからあなたは、彼らが示してくれた道をしっかりと辿っていきましょう。日々の生活の中で行ったり来たり、ゆっくりで構いません。大切なのは、過去に留まってしまわないこと。
具体的には、写真に向かって名前を呼びかけたり、日常の出来事をお話ししたり。お気に入りのおやつを供えて元気に喜ぶ姿を思い出してあげたり…そういった時間を少しずつ積み重ねることで、あたたかな気持ちで前へと向かう気持ちになれるでしょう。
一緒に過ごした生活の中で成長した心を、ぜひ大切に育んでください。優しさはきっと波紋のように広がり、あなたの人生をさらに深く豊かなものにしてくれることは間違いありません。
まとめ
ペットが亡くなっても、あなたが彼らから受け取った「心」は、いつもあなたと共にあります。
虹の橋で飼い主さんとの再会を待っているので、その時まで彼らから教えてくれた愛を胸に、笑顔で生きていきましょう。彼らにとって、飼い主さんの幸せが何よりの願いなのです。
いつか虹の橋で出会えるその日が来たら、「君のおかげで幸せな人生だったよ」と、たくさん撫でてあげてくださいね。
そして、一緒に虹の橋の向こうへ渡りましょう。